2005 Fiscal Year Annual Research Report
隕石衝突による磁場形成の地質学的アプローチと走査型磁化ベクトル顕微鏡の試作
Project/Area Number |
17740330
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 教博 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80302248)
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Keywords | シュードタキライト / 隕石 / 走査型磁気顕微鏡 |
Research Abstract |
本研究の目的は、カナダやインドに分布する大規模隕石クレーターの野外調査を行い、隕石衝突に起因する岩石(微細なシュードタキライト脈や隕石中の衝撃脈)の古磁場強度測定をおこなうことで、衝撃プラズマ磁場生成仮説の検証を試みることである。また、これまで不可能であった微細な磁化ベクトル情報のピンポイント"その場"測定を可能にするため、日本で独自に開発された磁気インピーダンス磁場センサー(MIセンサー)を3次元直交座標に配した走査型磁化ベクトル顕微鏡の試作もおこなうことである。この目的達成のため、本年度はインド・ジャンジ地域で新たに発見された原生代隕石孔周辺のシュードタキライトとスウェバイト(衝突蒸発雲の堆積物)の組織観察と古地磁気測定をおこなった。さらに、隕石中のコンドリュールや衝撃脈といった幅数ミリメートルスケールの磁気分布をその場測定するために、3軸にセットされたうち1軸だけをもちいた走査型磁気顕微鏡とそのソフトウェア開発をおこなった。また、野島断層帯の古地磁気測定から、地震時に断層面に垂直な方向に電流が流れたと考えられる残留磁化特性もみいだした。 本年度の成果は以下のとおりである。 1:サドバリー隕石孔のシュードタキライト試料の古地球磁場強度推定実験から、18億5千万年前の隕石衝突時の地球磁場強度が現在の半分程度である事を解明した(Nakamura and Iyeda, 2005)。 2、始原的コンドライト隕石中の‘ダスティーオリビン'コンドリュールが強い保持力と熱安定性を持ち、還元状態の原始太陽系磁場を推定できる可能性を示した(Uehara and Nakamura, submitted)。
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Research Products
(4 results)