2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17740339
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
鈴木 雄太郎 静岡大学, 理学部, 助手 (50345807)
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Keywords | 進化 / 機能形態 / 古生態 / 節足動物 / 三葉虫 / 古生代 / 形態型 |
Research Abstract |
礁性三葉虫群集の生息場所を礁内に散点的に密集する化石個体群の構成種と礁における空間的位置との対応関係を検討する目的のもと、スウェーデン中部ダーラナ地方に散在する直径約1Kmのドーム状の礁性石灰岩のボーダ石灰岩にて夏期野外調査を行った.野外調査では、ボーダ石灰岩中に認められる準現地性の化石密集パッチ26箇所より計4859個体を採集した.その結果、ドーム状の岩体内にて同心円状の分布を示す形態種群、広範囲に分布する形態種群、特定の岩相に卓越する形態種群が存在する傾向を見出した.同心円状の分布を示す形態種群については、過去の機能形態学的研究にて定住性との解釈が導かれており、今回の結果はそれに同調的な傾向を示す世界初の結果になるであろう.現在、室内作業はほぼ終了し、野外調査の結果をもとにした統計学的解析を行っている.また、得られた多数の標本について種同定を行ってきた結果、既存の種分類に問題を見出すこととなり、それに関する論文準備、投稿を行い、うち一編が出版された. 礁形成の終焉時に相当する層準においても、特定の化石三葉虫種群を二群見出した.化石密集パッチに見出される高多様性ではあるが礁固有の種群とは異なり、これらの種群は低い種多様性で形態的にも異質であり、さらに礁以外の底質環境下からも報告がある種が多数存在することが明らかとなった.礁形成が終焉へと向かう際には、比較的短時間での環境の変化が予想されうるが、このような環境下に底質への依存度が低い種群が多く適応していたことを意味すると考えられる.現在、この点についての議論とともに、礁形成の終焉時における種群の報告を兼ねた論文を作成中である. また、礁形成の終焉直後の層準から時代決定に有効な微化石を発見し、礁形成終焉の時代を特定する論文を出版した.
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Research Products
(2 results)