2005 Fiscal Year Annual Research Report
X線ラマン散乱測定による二酸化ケイ素の局所構造解析とフォノン分散関係の解明
Project/Area Number |
17740352
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
福井 宏之 岡山大学, 地球物質科学研究センター, 非常勤研究員(研究機関) (90397901)
|
Keywords | X線ラマン散乱 / 非弾性散乱 / 放射光 / 二酸化ケイ素 / 水 / 高圧 |
Research Abstract |
本年度は、二酸化ケイ素の結晶(スティショバイトおよび石英)を試料としたケイ素・酸素のX線吸収端エネルギーに対応するX線ラマンバンドの測定を常温常圧条件の下で行った。さらに第一原理によるクラスター電子状態計算とバンド計算からX線吸収スペクトルを求めて得られたスペクトルとの比較を行った。実験結果と計算結果は比較的良い一致を示しているが、ケイ素のL端についてはクラスター電子状態計算の結果が、酸素のK端についてはバンド計算結果が、実験をよく再現することがわかった。ケイ素のK端については、十分な分解能および強度をもったスペクトルを得ることができなかったため、どちらの計算方法が適しているか判断はつかないが、両計算結果は実験で得られたのスペクトルをほぼ再現している。 またスペクトル解析方法の確立を行うために、0.6ギガパスカルまでの圧力にわたって、水を試料とした酸素のK端に対応するX線ラマンスペクトルを測定した。得られた広域スペクトルは離散ウェーブレット変換を用いて解析し、加圧に伴って水の第一近接分子間距離は一旦短くなり、0.27ギガパスカル付近で伸長し、その後また縮むことが分かった。この観察された現象は、過去に報告のある低密度水から高密度水への相転移に対応するものであると思われる。
|