2005 Fiscal Year Annual Research Report
高感度XAFS法の開発に基づく微量元素の状態分析による地球化学
Project/Area Number |
17740358
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
高橋 嘉夫 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (10304396)
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Keywords | XAFS法 / 蛍光分法XAFS法 / XANES法 / オスミウム / 放射壊変 / スペシエーション / ヨウ素 / イオウ |
Research Abstract |
高感度XAFS法の開発と地球化学試料中の微量元素への適用 従来の蛍光XAFS法で検出する蛍光X線をさらに分光器で分光し、目的とする蛍光X線強度をバックグランド強度に比して高めることにより、感度よくXAFSスペクトルを得る手法(蛍光分光XAFS法)を開発した。必然的に多元素混合系である地球化学・環境化学試料では、バックグランドの寄与が大きく、これらの試料中の微量元素のスペシエーションをXAFS法で行う場合、この方法は極めて有効である。 岩石中の微量Osへの適用 蛍光分光XAFS法を岩石中のppmオーダーのOsに対して適用した。例えば、鉄隕石中のOsに適用した結果、鉄隕石中でOsは金属状態で存在することが分かった。またモリブデナイト中のOsに適用したところ、Osはerlichmaniteと同様の局所構造をとることが分かった、モリブデナイト中のOsは、殆ど全てがRe-187からの放射壊変起源である。このことは、放射壊変によって生じた娘核種は、壊変前の結晶格子の構造を保存せず、その元素の性質に応じた局所構造をとることが分かった。 環境試料への適用 その他、ヨウ素、ユウロピウム、アンチモン、ヒ素、イオウなどへのXAFS法の適用を行い、その環境挙動に関して重要な知見を得た。このうちヨウ素では、水-土壌環境でのヨウ素の酸化状態と固液分配に関する知見を得た。また、エアロゾル中のイオウに関しても重点的に研究を行い、硫酸イオンの対陽イオンの同定がXANES法により明らかにできることを示し、黄砂粒子と硫酸の化学反応に関する知見を得た。
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Research Products
(6 results)