2005 Fiscal Year Annual Research Report
大気圧グロープラズマによるポリマー薄膜堆積の機構に関する研究
Project/Area Number |
17740369
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
田中 邦翁 上智大学, 理工学部化学科, 助手 (60276516)
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Keywords | 大気圧グロープラズマ / プラズマ重合 / ポリエチレン / 堆積機構 |
Research Abstract |
プラズマ重合によるポリマー薄膜コーティング技術では、平滑な膜を処理表面上へ均一に堆積させることが非常に重要な要件となる。大気圧グロープラズマによる薄膜堆積では低圧グロープラズマに比べ、薄膜の形状が装置や処理条件に大きく左右されるが、その相関についてはほとんど明らかになっていない。 本年度は、大気圧グロープラズマによるポリエチレン薄膜の堆積を行い、放電条件と膜の形状や堆積速度、プラズマガス分析の結果との相関を調べた。実験には、厚さ2mmのパイレックスガラス板を組み合わせて作製した矩形の筒(内寸法:2×50×70mm)を二つの電極(面積:50×70mm)で挟んだ構造の放電管を使用した。この装置を用いることで、ガスの流れを一方向に制限でき、ガスの放電場での滞留時間と構造との関係を調べることができる。 膜の形状は、今回行った実験条件(電源周波数:100kHz,放電電力:50〜90W,He流量:2slm,Et流量:10〜40sccm)内では平滑であった。ガスの流れが今回ほど制御されていない装置を使った以前の研究では、条件によっては粒子状堆積物が確認されていた。詳細は未だ不明だが、膜の形状は今回調べていない条件(試料ガスの放電場での滞留時間など)に大きく依存していることが推測される。 堆積速度については、ガスの流れの上流から下流域に向かって増加する傾向にあった。ガスの滞留時間が180msもあることを考えると、堆積に関与する活性種は十分に生じると考えられるが、恐らく堆積物表面近傍で生じた活性種しか堆積に関与できないため、堆積速度が増加傾向を示したと推測される。 プラズマガスをGC-MSで分析したところ、Etの消費量は最大でも30%程度であること、ブタンを始めとして、プロパン,エタン,メタンなどが生じていることが分かった。放電条件との相関については、まだ分かっていない。
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