2005 Fiscal Year Annual Research Report
金属・半導体表面上の分子の熱分解過程における反応ダイナミクスと吸着状態
Project/Area Number |
17750002
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中越 修 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助手 (00374687)
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Keywords | 脱離分子 / 吸着状態 / 走査トンネル顕微鏡 / 反応ダイナミクス |
Research Abstract |
遷移金属表面上の分子の吸着状態および生成分子の反応ダイナミクスの関係を明らかにするために、Rh(110)上のN_2O分子の熱分解過程について研究を行った。N_2O分子の熱分解過程の反応ダイナミクスに関する知見を得るために、COを還元剤として、N_2O+COの定常反応における、脱離N_2分子の空間分布、並進速度分布を測定した。COによる還元雰囲気下では、表面温度500Kから800Kにおいて、脱離N_2分子は[001]方向に沿って、表面垂直方向からおよそ60から63度ずれた位置に指向し、この指向角に傾いた二つのローブを持つ空間分布を示した。この温度範囲では、空間分布の温度依存は見られなかった。また、脱離N_2分子の並進速度分布は、表面温度の熱平衡状態から放出されるMaxwell分布に比べ幅広い分布を示した。速度分布から見積もったN_2分子の並進温度は、指向角で最大となり、およそ4000Kに到達した。これらの結果から、N_2O分子は解離直前に[001]方向に配向してから分解し高速のN_2を分子軸に沿って放出、表面からも反発力を受けると結論した。指向角はエネルギー移動より解離直前の構造が決めているとみられる。 また、解離直前のN_2O分子の吸着状態を明らかにする為の、極低温走査トンネル顕微鏡による表面観察の前段階として、吸着測定が可能となる表面清浄化法の確立、サンプルホルダーの改良を行い、測定時のノイズを低減することに成功した。
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