2006 Fiscal Year Annual Research Report
金属・半導体表面上の分子の熱分解過程における反応ダイナミクスと吸着状態
Project/Area Number |
17750002
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中越 修 北海道大学, 触媒化学研究センター, 助手 (00374687)
|
Keywords | 脱離分子 / 吸着状態 / 走査トンネル顕微鏡 / 反応ダイナミクス |
Research Abstract |
遷移金属表面上の分子の吸着状態および生成分子の反応ダイナミクスの関係を明らかにするために、Rh(110)上のN_2O分子の熱分解過程について研究を行った。前年度は、COを還元剤としてN_2O+COの定常反応における、脱離N_2分子の空間分布、並進速度分布を測定した結果、N_2分子は表面に共吸着するCO分子により散乱され、そのダイナミクスが変化することを見出した。本年度は、共吸着分子によるダイナミクスの変化の詳細を調べるために、還元剤をH_2分子に変えて、N_2O+H_2定常反応における脱離N_2分子の空間分布、及び並進速度分布を測定した。H_2分子はRh(110)上で解離し、H原子として表面に吸着するが、CO分子に比ベファンデルワールス半径が小さいため反応直後に放出されるN_2分子の軌跡を変化するとは考えにくい。従って、水素還元下では、脱離N_2分子の空間分布、並進速度は影響を受けないと考えられる。しかし、得られた結果は水素濃度の増加により、脱離N_2の指向角は表面並行方向に変化し、並進速度は減少する。H_2分子を還元剤として用いると、反応条件下ではHは表面上で、OH、H_2Oとして存在する。OH、H_2Oの濃度の高い条件では、脱離の指向角は表面平行方向にずれて、並進速度は小さくなる。これは共吸着したOHやH_2OによりN_2O分解過程の遷移状態の構造が変化し、遷移状態のエネルギーが安定化されていると考えられる。このように、触媒反応などの定常的な分解反応では、必ず共吸着原子および分子種が存在するが、これまでこのような共吸着種による反応ダイナミクスの変化を実験的に測定した例は殆どない。 また、解離直前のN_2O分子の吸着状態を明らかにする為の、極低温走査トンネル顕微鏡による表面観察を行った。個々の分子の吸着状態は明らかに出来なかったが、N_2O分子の濃度が上がると2次元のクラスターを作ることが分かった。
|
Research Products
(2 results)