2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17750006
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
藤芳 暁 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (70371705)
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Keywords | 蛍光分光 / 単一分子 / タンパク質 / 多光子励起 / 紫外 |
Research Abstract |
本研究仮題は「多光子励起による単一タンパク質分光装置の作製」である。本年度はその仮題に対して(1)多光子励起を効率良く行うための光パルスの圧縮装置の作成と(2)分光装置の改良を行った。1に関しては、励起に用いた光パルスは光源出射直後には150フェムト秒程度であったのに対して、試料位置では300フェムト秒程度に広がることが分かった。これは分光装置に用いた光学系による群速度分散(GVD)によるものである。そこで、プリズム対を用いたパルス圧縮機を自作し、GVDを補正した。その結果、光パルスの時間幅を試料位置で光源出射直後と同じ150フェムト秒に圧縮した。これにより、2光子過程では4倍、3光子過程では8倍励起効率の改善が見られた。また、光源は波長705nmから980nmまで可変であるため、プリズム対の位置を波長走査の際に変えなければならない。自動ステージを用いてプリズムの位置制御を自動化した。2に関しては、部屋の明かりから来る迷光の対策のために装置の箱を作成した。微弱光を扱う多くの場合、部屋の電気を消した暗室内で実験しなければならない。しかし、暗室内での実験は操作ミスや事故につながることが多い。そこで、顕微鏡に暗箱を追加し、部屋の電気による迷光を0.1光子/秒以内に抑えた。我々の装置では、部屋の電気以外からの迷光レベルが10光子/秒以上あり、これと比べて2桁低く、実験に支障の無いところまで迷光を抑えることに成功した。
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