2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17750007
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小田切 丈 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80282820)
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Keywords | 多電子励起状態 / 中性解離 / 同時計数 / けい光 / 中空状態 / 放射光 / 2電子励起状態 |
Research Abstract |
2光子放出過程(AB+hv→AB^<**>→A^*+B^*→A+B+hv'+hv")の断面積を測定する「(γ、2γ)法」は、本研究代表者らが最近開発した実験手法であり、中性分子の非常に高い励起状態を観測することのできる唯一の実験方法である。本研究では、この手法を用い、内側の価電子が励起し多結果「中空」となった分子多電子励起状態を探索することを目的とする。 平成17年度は、これまでの予備的実験の範囲を超え、より汎用性の高い装置にすべく装置上の改良を行った。具体的には、2つの検出器間の混線を極力抑える努力と、より高い入射光子エネルギーでの実験に対応するための、光量モニタとしてのシリコンフォトダイオードの導入である。装置改良の後、窒素分子を対象に(γ、2γ)実験を行った。測定を行うにあたっては、実験条件の最適化に多くの時間を費やした。その後、2光子放出過程のしきい値以上で、最も内側の価電子軌道(2σ_g)から電子がイオン化するのに必要なエネルギー程度(30〜45eV)の入射光子エネルギー範囲において測定を行った。得られた2光子放出断面積は、36、39、40-44、45eVにピークをもち、そこに「中空」の電子配置をもつ多電子励起状態が存在することを明らかにした。多くの窒素分子イオンに対する研究を吟味し、取捨選択して、中世の多電子励起状態と結びつけ、中空状態の電子配置について議論した。窒素分子の2重イオン化しきい値を超えたエネルギーにも多電子励起状態が存在し、それらが中性解離により崩壊しているという興味深い事実を発見した。 検出器からの出力パルス形状の改善については、努力にもかかわらずそれほど良い結果が得られなかった。これは時間分解能に関係するため、来年度継続して努力したい。
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Research Products
(4 results)