2006 Fiscal Year Annual Research Report
真空紫外線領域における生体高分子の自然円二色性測定システムの開発
Project/Area Number |
17750020
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田中 真人 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測フロンティア研究部門, 研究員 (30386643)
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Keywords | 円二色性 / 生体分子 / 構造解析 / 真空紫外線 / アンジュレータ / キラリティ / 糖 / アミノ酸 |
Research Abstract |
本年度は前年度開発した真空紫外線領域(VUV)における円二色性スペクトル(CD)測定システムを活用して、正確なVUV-CD測定のための校正手法の確立とそれを基にした生体分子薄膜・水溶液試料のVUV-CD測定、ならびに分子軌道計算法によるCDの理論予測に成功した。 VUV-CD測定システムは独立行政法人産業技術総合研究所の電子蓄積リングTERAS BL-5にて昨年度に引き続き開発を進めており、本年度は光学系の改良と調整・ノイズ対策・機器の更新などにより前年度より一桁近い高感度化に成功した。 VUV領域での正確なCDならびに直線二色性(LD)の測定には校正値を求めることが必須となる。そのためこの領域で偏光度測定手法として用いられている反射型位相子・偏光子を利用し、CD測定時と同等の手順でこれらの透過光強度の回転角度変化を観測することから校正値を求めるという新規の校正手法の開発に成功した。CDやLD標準試料の測定結果との比較からこの手法は正確な校正値を与えることが分かった。 上記の測定システムと校正値を用いて、アミノ酸薄膜や糖水溶液といった生体分子試料のVUV-CD測定に成功した。薄膜試料は前年度開発したCD・LD同時計測法により僅かなLD由来信号の除去を行っている。水溶液試料測定に関して、温度(10〜80℃)調節機構を備えた小型試料セルを開発することに成功し、より正確なCD測定が可能になっている。 Gaussian03プログラムを利用した構造既知アミノ酸のCDの理論計算を行った結果、実験結果との一致を得ることにも成功した。この結果は構造未知試料のCD測定と理論予測からその構造解明が可能であることを示している。 以上、当初の研究実施計画に即した研究成果を得ることに成功した。
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Research Products
(1 results)