2005 Fiscal Year Annual Research Report
固相担持型光学活性メントール補助基の合成と不斉光反応への応用
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17750040
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
堤 健 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00304163)
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Keywords | メントール / 固相反応 / ジアステレオ選択的 / [2+2]光付加環化反応 / ポリエチレングリコール / ポリスチレンレジン / シクロヘキセノン / コンビナトリアル合成 |
Research Abstract |
フェニルメントール誘導体を芳香環のパラ位でポリマーに繋げた新規固相担持型メントール補助基を各種合成した。これにシクロヘキセノンを縮合させ、エチレンとのジアステレオ選択的[2+2]光付加環化反応を行った。一般に、コンビナトリアル合成用レジンを用いた固相反応の多くは、液相反応と比較し、不均一反応系に起因する収率の低下が見られる。しかし、トルエン、塩化メチレンなどの有機溶媒と水にも可溶な両親媒性ポリエチレングリコールレジン(PEG-OMe)担持型メントール補助基を用いた場合、塩化メチレン、トルエン中、-78℃で、液相反応に匹敵する高い収率で光付加体が生成した。特に疎水性ドデカメチレン鎖を導入した場合、高いジアステレオ選択性が得られた。さらに、塩化メチレン溶液に、各種無機塩水溶液を加えたところ、選択性が大幅に向上する新たな添加物効果を見出した。反応液は懸濁していたことから、金属イオンをコアとしてPEGが集積することにより、逆ミセル状の反応場が形成されたと考えられる。この逆ミセル反応場において、加えた金属イオンの正電荷との相互作用により反応部位のstacked s-trans配座に安定化され、高選択性が発現したと考えられる。 一方、Polymer部位に平均90Åの空孔を有するWangマクロポーラスポリスチレンレジン(Wang-MP)、Linker部位に疎水性のヘキサメチレン鎖を導入した固相担持型メントール補助基を用いて光反応を検討したところ、溶媒を用いずにエチレンガス雰囲気で固-気反応が進行した。これまで合成したシクロヘキセノン誘導体は同条件下では全く反応しない。これは、エノンがポリマー内に分散されているとともに、レジンの空孔を通じてエチレンガスがポリマー内部まで浸潤したためだと考えられる。これは有機溶媒を必要としないことから、グリーン・ケミストリーの見地からも興味深い。
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