2006 Fiscal Year Annual Research Report
固相担持型光学活性メントール補助基の合成と不斉光反応への応用
Project/Area Number |
17750040
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
堤 健 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00304163)
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Keywords | 光付加環化反応 / シクロデキストリン / エナンチオ選択的 / メントール / ジアステレオ選択的 / 固相反応 / 水中反応 / マイクロリアクター |
Research Abstract |
環状エノンとオレフィン類との不斉[2+2]光付加環化反応について、シクロデキストリンを用いたエナンチオ選択的反応と光学活性メントール補助基を用いたジアステレオ選択的反応を検討した。 シクロデキストリンを不斉反応場として利用したエナンチオ選択的光反応を行った。温水中でシクロヘキセノン、ペンテノンそれぞれをα,β,γ-シクロデキストリンに包接させた。得られた1:1〜1:2包接錯体を水懸濁状態と固相状態でエチレンとの光反応を行ったところ、付加環化体が得られ不斉選択性が発現することが明らかとなった。本反応は、シクロデキストリンを用いた異種分子間不斉光反応としては初めての例であるが、反応収率、エナンチオ選択性は実用レベルまでには至っていない。本手法において高収率、高選択性を得るためには、高圧下で反応を行うなどの反応条件の検討が必要であると考えられる。 両親媒性ポリエチレングリコールレジン(PEG-OMe)担持型メントール補助基を合成し、シクロヘキセノンとエチレンとのジアステレオ選択的光反応を行った。有機溶媒中では高収率、高選択性が得られたが、水中では副反応が進行し目的物がほとんど得られなかった。そこで界面活性剤と、さらに長鎖メチレン鎖を導入したナノサイズメントール補助基を用いたところ、水中でも付加環化体が得られた。シクロペンテンとの反応では有機溶媒中よりも水中の方が、高収率、高選択性が得られた。これは、界面活性剤とメントール補助基が共同でミセル、エマルションを形成することにより、反応物の配列が制御されることと、濃縮効果に起因すると考えられる。 マイクロリアクターを用いて、ジアステレオ選択的光反応を行った。従来のバッチ反応(フラスコ内の反応)と比較したところ、反応速度、選択性が共に向上した。これはマイクロ空間で反応させることにより、高効率、高精度に光照射、温度制御が行えたことに起因する。
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Research Products
(2 results)