2006 Fiscal Year Annual Research Report
多様な中心金属を持つ光学活性ケトイミナト錯体の合成と触媒的不斉合成反応への展開
Project/Area Number |
17750043
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池野 健人 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (50296753)
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Keywords | Schiff Base / Cobalt / Reduction / Asymmetric snthesis / DFT Analsis / Benzohenone / Halogen-Free Solvent / Biarvl lactone |
Research Abstract |
本年度は中心金属がコバルトの光学活1生ケトイミナト錯体を触媒とする不斉ボロヒドリド還元反応を特に展開することができた。通常ベンゾフェノン類の不斉還元反応は2つのベンゼン環の差別化が困難であることから、高エナンチオ選択性の発現が難しことが知られている。今回、オルト位にフルオロ基を有するベンゾフェノン類のボロヒドリド還元反応において、非常に高いエナンチオ選択性が発現することを見いだした。すなわち、片側のベンゼン環のオルト位にフルオロ基を持ちさえすれば、活性種のコバルトヒドリド種はこのフルオロ基を選択的に認識し、もう片側のベンゼン環に様々な置換基が存在していても、非常に高いエナンチオ選択性で還元反応が進行し、対応するベンズヒドロール誘導体が得られる。さらに実験的・理論的解析を通して、本不斉還元反応の機構についても提案することができた。まず、溶媒のクロロホルムとコバルト錯体が還元条件で反応し、コバルト-ジクロロメチル錯体が生成、さらにこの錯体が水素化ホウ素ナトリウムと反応してコバルト-ジクロロメチル-ヒドリド錯体が生成すると考えられる。このヒドリド錯体のジクロロメチル基の塩素原子と平面配位子の酸素原子がナトリウムカチオンを補足し、このナトリウムカチオンにケトンのカルボニル基が配位することにより活性化するとともに、ヒドリドが攻撃する際のコンホーメションが固定されるため高いエナンチオ選択性が発現したと考えられる。このことから、クロロホルムは溶媒ではなくコバルト錯体の活性化剤と考えられ低減下を図ったところ、コバルト錯体に対して5等量程度で十分であり、非ハロゲン化溶媒であるTHF中などで高いエナンチオ選択性が発現することがわかった。また、ビアリールラクトン類の不斉還元による光学活性ビアリール化合物の合成にも成功した。
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Research Products
(6 results)