2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規低原子価ウラン錯体の合成とその光化学的性質の解明
Project/Area Number |
17750050
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中井 英隆 金沢大学, 自然科学研究科, 助手 (70377399)
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Keywords | 合成化学 / 光応答錯体 / 低原子価ウラン錯体 / アクチニド錯体 / 光物性 |
Research Abstract |
本研究の目的は、光感応性置換基を導入したシクロペンタジエニル誘導体等の配位子を持つ新規低原子価ウラン錯体を合成し、それらの光化学的性質を明らかにすることである。具体的には、ランタニドにはないウラン(アグチニド)に特有な結合性のf軌道からの発光を機能化し、分子性発光材料開発の基盤の構築を目指している。本年度は、平成17年度の成果を基盤として更なる研究の発展に努めた。すなわち、平成17年度には、シクロペンタジエニル(Cp^*)へのメチレン架橋部位を介したナフタレン基の導入に成功したが、より多様な架橋部位・光感応性置換基のCp^*への導入を検討した。その結果、配位子の系統的な合成手法の確立に成功し、種々の架橋部位、光感応性置換基を持つ配位子の合成が可能となった(例えば、シラン架橋によるアントラセン基の導入に成功)。また、ウラン錯体の合成に欠かすことのできない金属ウランの入手経路を確立することができ、現在、原料錯体(前駆体)を合成中である。一方、合成した新規配位子の基本的な特性の評価を目的として、ウラン錯体同様にf軌道を有するランタニド錯体の合成を試みた。なお、得られるランタニド錯体の光化学特性は、これから合成に着手するウラン錯体の光化学的性質を明らかにする上での貴重な指標となる。これまでに、特異な発光挙動を有する種々のランタニド錯体の合成に成功している。これらの成果は、平成18年4月(京都)で行われた国際会議(XXIst IUPAC Symposiumon Photochemistry)および平成18年9月(広島)で行われた第56回錯体化学討論会で発表した。また、本研究遂行に伴い派生した研究成果を用いて3報の学術論文を発表するとともに1件の特許出願を行った(次ページ参照)。
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