2005 Fiscal Year Annual Research Report
イリジウム二核錯体による有機分子の炭素-水素結合活性化と官能基化
Project/Area Number |
17750052
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 健一 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 助手 (80293843)
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Keywords | イリジウム錯体 / 多核錯体 / ヒドリド錯体 / C-H活性化 |
Research Abstract |
本研究者は、遷移金属複核錯体に特有の機能を見出し、有機合成における新しい分子触媒として発展させることを目的として、イリジウム二核錯体に注目して研究を行ってきた。本研究課題では、これまでに本研究者が明らかにしてきたイリジウム二核錯体の機能化学についてさらに深く明らかにすることを目的として、イリジウム二核錯体による有機分子の炭素-水素(C-H)結合の活性化と、その反応機構の解明、さらに官能基化反応について検討した。 最初に、2価のイリジウムにより構成される新規錯体(Cp^*Ir)_2(μ-dmpm)(μ-H)_2[dmpm=ビス(ジメチルホスフィノ)メタン]の合成に成功し、本錯体にベンゼン中でMeOTfを作用させるとメタンの脱離とともにベンゼンのC-H結合活性化が進行することを見出した。本反応は室温条件で定量的に進行するものであり、これは本研究者が従来ジカチオンイリジウム二核錯体を用いて明らかにしてきたC-H活性化反応に比べ、反応速度と収率の点で大幅な改善が達成された。 次に、上記のベンゼンのC-H活性化の反応機構を解明するため、温度可変NMRによる反応の追跡を行い、イリジウム二核活性種[(Cp*Ir)_2(μ-dmpm)(μ-H)]^+を経てC-H活性化が進行することを明らかにした。 これに続いて、ベンゼン以外の有機分子のC-H活性化について検討し、ピリジン・フラン・ジヒドロフラン・シクロペンテン及びビニルエーテル類を用いた場合にもC-H活性化反応が良好に進行することを見出した。 また現在、C-H活性化により得られた錯体とアルキンやナイトレン前駆体との反応による官能基化反応について調査中である。
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