2005 Fiscal Year Annual Research Report
高原子価マンガン(V,V)種の合成、単離とその反応性に関する研究
Project/Area Number |
17750055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島崎 優一 九州大学, 先導物質化学研究所, 助手 (80335992)
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Keywords | 高原子価マンガン種 / 構造 / 電子状態 / 単離 / オキソ基 |
Research Abstract |
今年度は高原子価マンガン(V, V)種の構造、電子状態の決定、および、その単離の試みについて検討した。高原子価マンガン(V, V)ポルフィリン種の構造、電子状態の決定についてはNMRおよびXANES, EXAFSを用いて検討した。^1H-NMRにおいてマンガン(III, III)種と比ベマンガン(V, V)種は線幅の小さいスペクトルを示し、、7-10ppm付近にポルフィリン由来と考えられるのシグナルを観測した。また、エバンス法により求めた磁化率は少量の常磁性不純物が存存するものの、磁気モーメントはほぼ0であることが判明した。以上のことより、マンガン(V, V)ポルフィリン種は反磁性種であることが明らかとなった。さらに、XANESはマンガン(III, III),(IV, IV),(V, V)と価数が大きくなるにつれ、edgeが高エネルギー側にシフトしたことから、ポルフィリン等の配位子が酸化ではなく、中心金属イオンが酸化された状態であることが明らかとなった。これらのことから、マンガン(V, V)種は低spin-d^2の電子状態であると結論した。また、マンガン(V, V)種のEXAFSはオキソ基およびヒドロキソ基を有する構造であること示唆し、その結合距離はMn=0が1.75Å, Mn-OHが2.00Åであると見積もられ、これまでの実験事実と矛盾しない結果となった。 一方、ポルフィリン高原子価種の単離について、まずマンガン(IV, IV)種の単離について検討した。マンガンイオンに対し5等量の水酸化テトラブチルアンモニウム、マンガンイオンに対し1等量の過酸を反応させたところ、マンガン(IV, IV)種を褐色の粉末として得ることができた。この化学種は申請者がこれまで報告してきた性質を再現するが、室温付近では固体であってもすみやかに分解し、マンガン(III, III)へと変化することが明らかとなった。
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