2006 Fiscal Year Annual Research Report
高原子価マンガン(V,V)種の合成、単離とその反応性に関する研究
Project/Area Number |
17750055
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
島崎 優一 九州大学, 先導物質化学研究所, 助手 (80335992)
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Keywords | 高原子価マンガン種 / 構造 / 電子状態 / 単離 / オキソ基 / 水の酸化 / 酸素発生 |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続き高原子価マンガン(V,V)種の構造、電子状態の決定、および、その単離の試みについて検討し、さらに、高効率な触媒的水の酸化について検討した。高原子価マンガン(V,V)ポルフィリン種の構造、電子状態の決定についてはNMRなどを用いて検討した。高原子価種マンガン(V)種の単離について、様々な単核のマンガンポルフィリンについて検討したところ、ポルフィリンピロールβ部位にフッ素を導入したマンガン(III)錯体を35当量のテトラブチルアンモニウムヒドロキシド存在下、過酢酸との反応により高原子価種マンガン(V)種が生成した。この高原子価種は室温で比較的安定であり、^1H-NMRにおいてマンガン(III,III)種と比べマンガン(V,V)種は線幅の小さいスペクトルを示し、7-10ppm付近にポルフィリン由来と考えられるのシグナルを観測した。また、エバンス法により求めた磁化率は少量の常磁性不純物が存在するものの、磁気モーメントはほぼ0であることが判明した。以上のことより、これまで報告されている反磁性マンガン(V)種であることが判明した。さらに、この化学種の共鳴ラマンスペクトルからオキソ基を有することが判明し、そのMn-Oの伸縮振動は781cm^<-1>と二重結合性を有していることが判明した。さらに、この化学種は固体として単離可能であり、濃赤色微結晶として析出することが明かとなった。 一方、高効率な触媒的水の酸化について、まずマンガン(III,III)種をITO電極上に固定し不均一系触媒能について検討した。PH11の緩衝水溶液中、マンガン錯体を修飾した電極を用いて1.0Vで電解したところ、酸素の発生が認められ、その触媒回転数は約9500とこれまで報告されているマンガン錯体に比べ高効率な水の酸化が認められた。
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