2005 Fiscal Year Annual Research Report
非局在電子スピンを有する白金ブルーの一次元拡張化と導電物性評価
Project/Area Number |
17750058
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
植村 一広 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (60386638)
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Keywords | 金属錯体化学 / 結晶構造 / 電子状態 / 分子性固体・有機導体 |
Research Abstract |
白金-ロジウム複核錯体とピバリン酸アミド架橋白金複核錯体を反応させると、非架橋金属結合(Pt-Rh)を形成し多核化することがわかった。白金-ロジウム複核錯体の配位子を替えることで、合計7種類の一次元錯体を合理的に合成し、単結晶構造解析に成功した。いずれの結晶構造も、金属がPt-Rh-Pt-Pt-Pt-Pt-Rh-Ptの順に一次元状に並んだ八核錯体を形成していた。八核錯体は、上下がCl-でキャップされた構造を形成しており、さらに、八核錯体の一方のCl-が脱離し、八核錯体がCl-で架橋された、無限一次元鎖を単離できた。この無限一次元鎖は、八核金属上に1つの不対スピンを有することを、ESR、帯磁率測定、XPSより明らかにした。さらに、ESR測定の結果、2に近いg値とブロードな線幅を観測した。この結果、不対電子はRh dxy軌道に存在し、隣接ロジウム間を高速にホッピング運動していることがわかった。つまり、金属酸化状態は-Pt(3+)-Rh(2.5+)-Pt(2+)-Pt(2+)-Pt(2+)-Pt(2+)-Rh(2.5+)-Pt(3+)-である。さらに、極低温から常温までの、温度可変ESR測定をした結果、g値は常に2に近い値をとったが、スペクトルの線幅は、温度に依存して顕著に変化した。一次元鎖の1つは、線幅が7.9K付近で、最もブロードになった。ホッピング運動は、温度上昇とともに、高速化すると考えられる。つまり、7.9K付近で、ESRタイムスケールと合致し、不対電子は隣接ロジウム間を1秒あたり億オーダー回往復することがわかった。
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Research Products
(3 results)