2006 Fiscal Year Annual Research Report
非局在電子スピンを有する白金ブルーの一次元拡張化と導電物性評価
Project/Area Number |
17750058
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
植村 一広 山口大学, 大学院理工学研究科, 助手 (60386638)
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Keywords | 錯体合成 / 量子細線 / 導電物性 |
Research Abstract |
本研究では、非局在化した不対スピンを有する白金四核錯体(白金ブルー>を、結晶中で一次元集積化し、導電性を発現させることを目標としている。これまでに、白金ロジウム複核錯体とビバリン酸アミド架橋白金四核錯体を反応させると、非架橋金属結合(Pt-Rh)を形成し、結晶中で八核化することがわかった。単結晶X線構造解析の結果、結晶中で金属がPt-Rh-Pt-Pt-Pt-Pt-Rh-Ptの順に一次元状に並び、さらに、それらがC1-で架橋された、無限一次元鎖を形成していることがわかった。結晶構造をもとに、ESR、帯磁率測定、XPS測定の結果、八核金属状に1つの不対スピンを有していることがわかった。直流四端子法伝導度測定の結果、常温で3.52×10^6S cm^1であり、半導体的挙動をとることがわかった。不対スピンはRh dxy軌道上に存在し、z軸方向に伝導性に寄与するバンドを形成することができなかった。一方で、白金ロジウム複核錯体のみの単結晶を単離し、単結晶X線構造解析に成功した。金属は-Pt-Rh-Cl-の順に一次元に並び、物性測定の結果、金属酸化状態は-Pt(2+)-Rh(3+)-Cl-であることがわかった。一次元鎖と比較すると、白金ロジウム複核錯体は外部環境に応じて、-一Pt(2+)-Rh(3+)-と-Pt(3+)-Rh(2+)-の2種類の酸化状態をとることがわかった。よって、白金一ロジウム複核錯体の有機配位子を替えることで、一次元鎖錯体の電子構造を制御できる可能性があることを見出した。
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Research Products
(4 results)