2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17750064
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
野口 秀典 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60374188)
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Keywords | 表面・界面 / 和周波分光 / 近赤外振動分光 / タンパク / 水 |
Research Abstract |
本研究は、近赤外振動(NIR)分光法を界面選択的な和周波発生(SFG)分光法と組み合わせたNIR-SFG分光法を新規に構築し、新たな界面(表面)プローブ法の確立を目指すものである。NIR領域では中赤外領域に比べ水の吸収強度がかなり弱くなるため、NIR-SFG分光法は水の影響を考える必要なく、これまで不可能であった水溶液中に存在する界面(表面)に関する情報が得られるものと期待される。このことは、水環境下で存在する生きた生体分子の界面構造をプローブするのに非常に有力な分光法となり、生命活動における水の役割という生物学的にも重要な問題に対する新たな知見が得られるものと考えられる。 そこで、今年度はNIR-SFG分光法の構築を行った。具体的には再生増幅されたTi:Sapphierレーザーからの790nmのfsパルス光を2つに分け、一方を和周波測定のための波長固定光、もう一方を石英フローセル中の水に集光させ自己位相変調により白色光を発生させることで、近赤外領域の光を得た。この2つの光を試料表面に同時間、同一点で集光し、発生する和周波光をフィルター、分光器を通した後CCDで検出した。今回は試料としてGaAsまたはQuartzを用いシステムの最適化を行った。 今後は、このシステムを生体分子/水界面に適応することを目指す。一般にタンパク質周辺の水のような空間的に制約をうけた環境下に存在する水は常温・常圧下で存在するバルクの水の構造と大きく異なるといわれている。このような通常のバルクの水とは異なった配向性の高い構造をもつ水をSFG分光法により観測を試みる。また、NIR領域では、中赤外領域に比べ水素結合や分子間相互作用に対して非常に敏感なため、タンパク質の三次元構造を支配する弱い非共有結合(水素結合、ファン・デル・ワールス力、疎水力、イオン結合)とタンパク質周囲の水の役割について明らかにする。
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Research Products
(7 results)