2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17750065
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石坂 昌司 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80311520)
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Keywords | 表面・界面物性 / レーザー分光 |
Research Abstract |
人工的な水素結合を介した分子認識は、水溶液中においては水分子自体が水素結合能を有するために効率良く進行しないことが知られている。しかしながら、生体系においては水分子が存在する環境においても高い分子認識を実現している。これは、タンパク質分子の水素結合部位が局所的に疎水的な環境を提供している為と考えられている。水分子が存在する環境であるにもかかわらず気/液界面や油/水界面が効率の良い水素結合形成の場として機能し得ることから、近年、界面は水溶性分子やイオンの分子認識場として注目されている。これまで、油/水界面における分子認識は電気化学的な手法、もしくは界面張力測定などから議論されてきたが、界面において分子認識錯体を直接捉えた研究例は少ない。申請者は、水相に溶解した光学活性物質であるリボフラビンと四塩化炭素相に溶解したジアミノトリアジン誘導体が界面において三点水素結合を介した分子認識錯体を形成していることを時間分解全反射蛍光法を用い直接観測することに成功した。また、リボフラビンとジアミノトリアジン誘導体の油/水界面における水素結合分子認識の熱力学パラメータを実測し、その特異性を明らかとした。現在、新たに設備として導入した光弾性変調器を用い、油/水界面における全反射条件下での円二色性測定が可能なシステムの構築を行っている。上記システムを用い、界面のナノメートルオーダーの微視的構造や界面の特異的な溶媒環境、分子の界面に対する配向性や運動性が、リボフラビン分子の円二色性に及ぼす影響を明らかに出来ると期待される。
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