2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17750065
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石坂 昌司 北海道大学, 大学院理学研究院, 助手 (80311520)
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Keywords | 表面・界面物性 / レーザー分光 |
Research Abstract |
人工的な水素結合を介した分子認識は、水溶液中においては水分子自体が水素結合能を有するために効率良く進行しないことが知られているが、水分子が存在する環境であるにもかかわらず、油/水界面は、効率の良い水素結合形成の場として機能し得ることから、近年、水溶性分子やイオンの認識場として注目されている。しかしながら、この様な不均一反応場における水素結合を介した分子認識の特異性は、必ずしも詳細が明らかとなっているわけではない。申請者は、時間分解全反射蛍光法を用い、水相に溶解した光学活性物質であるリボフラビン(RF)と四塩化炭素相に溶解したジアミノトリアジン誘導体(DTT)が、界面において三点水素結合を介した分子認識錯体を形成することを分子回転緩和速度の変化として直接観測することに成功した。また、水/四塩化炭素界面張力のRF,DTT濃度依存性ならびに温度依存性の測定から、界面におけるRFとDTTの分子認識に伴う熱力学パラメーター(エンタルピー、エントロピー変化)を決定した。バルク溶液中において測定した熱力学パラメータと比較検討を行うことにより、油/水界面はバルク水相中に比べ低誘電率環境にあり、RFとDTT間の水素結合相互作用の安定化に寄与していること、また、RFとDTTが界面に吸着し強く配向することにより、分子の持つ運動の自由度(並進、回転)を低下させ、分子認識錯体形成にともなうエントロピー的なエネルギーのロスが、バルク溶液中に比べ軽減されることを明らかとした。
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