2005 Fiscal Year Annual Research Report
液液界面におけるタンパク質分子の特異吸着と界面化学種の状態分析
Project/Area Number |
17750070
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永谷 広久 長崎大学, 工学部, 助手 (90346297)
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Keywords | 液液界面 / 電位変調分光法 / 分光電気化学 / 界面吸着 / イオン移動 / 蛍光プローブ / ポルフィリン / ローダミン |
Research Abstract |
強い発色団を含まないタンパク質分子の界面挙動を高感度に測定するには蛍光プローブを使用した電位変調分光法の使用が有効であるが、プローブ分子の界面挙動を予め理解する必要がある。そこで、交流電位に応答する液液界面からの蛍光強度を解析することでイオン性色素の界面挙動を測定できる電位変調ボルトフルオロメトリー(PMF)を改良し、タンパク質分子の蛍光プローブとして応用されるローダミン色素およびポルフィリン化合物の界面挙動を調査した。 対称性の異なる水溶性ポルフィリン(protoporphyrin IX : H_2PP^<2->, meso-tetrakis (N-methylpyridyl)-porphyrin: H_2TMPyP^<4+>ほか)について検討した結果、水相から有機相へのイオン移動電位近傍で界面吸着性を確認した。吸着平衡はイオン移動後の有機相側で生じていることが明らかになり、対称性が低く分子の片側にのみ親水基を有するH_2PP^<2->が高い吸着性を示した。H_2TMPyP^<4+>については界面化学種の蛍光スペクトル測定に成功し、有機相と水相の中間的な溶媒和状態で界面化学種が吸着していることが明らかになった。また、分子内に酸性基と塩基性基の双方を含む両性ローダミン色素(rhodamine B : RB, sulforhodamine 101 : SR101ほか)の界面挙動を検討し、吸着性が界面電位差だけでなくpHにも強く依存することを見いだした。RBは低pH側で吸着性が増加し、SR101は界面における二量体生成を経て吸着することが示唆された。 これらの研究に並行して、吸着による界面張力変化を非接触でin situ測定できる準弾性レーザー光散乱法(QELS)のセットアップを行った。今後、各種タンパク質分子の界面挙動を解明するため、蛍光プローブを利用したPMFにQELSを組み合わせて研究を進める計画である。
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