2006 Fiscal Year Annual Research Report
液液界面におけるタンパク質分子の特異吸着と界面化学種の状態分析
Project/Area Number |
17750070
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
永谷 広久 長崎大学, 工学部, 助手 (90346297)
|
Keywords | 液液界面 / 電位変調分光法 / 蛍光プローブ / 界面吸着 / デンドリマー / ポルフィリン / ローダミン |
Research Abstract |
分極された液液界面におけるタンパク質分子の動的挙動の高感度測定に応用する蛍光プローブ分子の測定を行うとともに、直径数ナノメートルの多分岐高分子化合物(デンドリマー)をタンパク質分子のモデル化合物として用いることで、界面反応挙動の解明を試みた。 蛍光プローブ分子として、アニオン性およびカチオン性のポルフィリン化合物と両イオン性ローダミン化合物について電位変調ボルトフルオロメトリー(PMF)による検討を行い、界面反応挙動を明らかにした。カチオン性のテトラキス(N-メチルピリジル)ポルフィリン(H_2TMPyP^<4+>)は、イオン移動電位近傍で吸着性を示すが、非イオン性界面活性剤を有機相に加えると、界面活性剤との競争吸着によってH_2TMPyP^<4+>の界面吸着が制限されることが明らかになった。それに対して、アニオン性界面活性剤を水相に添加すると、H_2TMPyP^<4+>のイオン移動電位より正電位側で観測される有機相における吸着応答が大きくなったのに加え、負電位側で水相においても吸着過程を生じることが分かった。水相側の吸着応答は、アニオン性界面活性剤のアルキル鎖が短くなると負電位側にシフトした。これらの吸着過程では、界面におけるH_2TMPyP^<4+>とアニオン性界面活性剤のイオン対形成が関与していることが示唆され、生体膜表面における反応素過程を理解する上で有用な情報となる。 デンドリマーは、アミノ末端を有する第三世代のポリアミドアミン(PAMAM)デンドリマーを用いた。PAMAMデンドリマーは、正に分極された液液界面で非常に特徴的な応答を示した。アニオン性のテトラキス(4-カルボキシフェニル)ポルフィリン(ZnTPPC^<4+>)を添加したところ、ZnTPPC^<4+>はデンドリマーと静電相互作用によって会合し、分極界面における蛍光プローブとして有効に作用した。PMF測定から、デンドリマーの界面吸着によって有機相の電解質イオンが水相に促進移動されることが示唆された。
|
Research Products
(1 results)