2005 Fiscal Year Annual Research Report
動的界面構造制御と非線形分極変化の誘導に基づく選択的アニオン検出法の開発
Project/Area Number |
17750072
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石岡 寿雄 九州大学, 大学院総合理工学研究院, 助手 (60304838)
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Keywords | 分子認識 / 第二高調波発生 / SHG / 誘導適合 / イオンセンサー |
Research Abstract |
本研究はアニオン認識試薬を界面に修飾し,修飾分子の配向,秩序性の変化をアニオン種の共存により誘導すること,及び界面計測法に構造変化に鋭敏な手法である非線形分光法を利用することにより,より高感度かつ高選択的なアニオンの検出を目指すものである. 本年度は電極/溶液界面の構造を目的イオンに最適化することを目的とし,以下の手順で研究を遂行した. 1.リン酸二水素イオン認識のための誘導適合的修飾法の開発 アントラキノンを基本骨格とした分子認識試薬を合成し,リン酸二水素イオンと有機溶媒中において錯生成させ,さらに金単結晶電極上のシスタミンと反応させることで,表面に分子認識試薬を化学結合させた.この電極表面について,電気化学的測定によりアントラキノン分子の酸化還元に伴う電流を観測したこと,及びリン酸二水素イオンの存在により,電流密度が約50%減少することを確認した.修飾に成功しただけでなく,、従来法と比較し電流応答が大きくかつ電位変化を伴わないことから,界面構造の変化機構が従来法と大きく異なることが示唆された. 2.第二高調波発生による表面配向状態の検出 1において作成した電極について,非線形分光法である表面第二高調波発生の回転異方性を測定した結果,リン酸二水素イオンの存在下で高い回転対称性を示した.界面構造がリン酸二水素イオンの存在により高い秩序性を保つ状態に変化したものと考えられる.また電位による対称性の変化が小さいことは,界面構造がリン酸二水素イオンの存在に対して安定な酸化還元状態で固定されたことを示唆している. 以上本年度の結果から,誘導適合的な界面修飾法が目的イオンの有無により大きな構造変化をもたらすことが示された.今後多様な構造をもつさまざまのリン酸系アニオン種について同じ手法が応用可能であると考えられる.
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Research Products
(1 results)