2005 Fiscal Year Annual Research Report
アプタマーを分子認識素子とした蛍光プローブの創製と細胞内イメージングへの応用
Project/Area Number |
17750073
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
宗 伸明 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (90336008)
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Keywords | 蛍光プローブ / アプタマー / アデノシン三リン酸 / 蛍光共鳴エネルギー移動 / G-カルテット構造 |
Research Abstract |
本年度は、アデノシン三リン酸(ATP)をターゲットとして選択し、これを計測するための新規アプタマー型蛍光プローブの開発を試みた。まず、G-カルテット構造を形成してATPを認識することが知られているDNAアプタマー(25mer)の5'及び3'末端に対して、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を誘起する二種の蛍光基、HEX及びTexas Redを標識したプローブIを設計・調製した。純水中において、プローブIに対して種々濃度のATPを添加したところ、添加したATPの濃度の上昇に伴い蛍光強度比I_<TR>/I_<HEX>(I_<HEX>とI_<TR>はそれぞれHEXとTexas Redの蛍光強度)が増大し、プローブIがATP検出能を有していることが示唆された。しかし、プローブIの蛍光強度は予想された値よりも小さく、蛍光基の分子内会合による蛍光強度の減少が生じていると考えられた。そこで、この分子内会合を抑制するため、蛍光基修飾DNAアプタマーに対して相補的なDNA鎖(7mer)をハイブリダイズさせたプローブIIを新たに設計・調製し、その性能を検討した。この際、使用する蛍光基の組み合わせを、プローブIのHEX/Texas Redから、蛍光基間での会合の抑制が期待できるAlexa Fluor 488/TAMRAへと変更した。Tris-HCl緩衝液中において、プローブIIに対してATPを添加したところ、ATPの添加に伴う蛍光強度比I_<TAMRA>/I_<AF>(I_<AF>とI_<TAMRA>はそれぞれAlexa Fluor 488とTAMRAの蛍光強度)の増大が観測された。これは、ATPの認識に伴いプローブII中の相補鎖DNAが解離し、FRETが誘起されたことに起因していると考えられる。蛍光強度比変化と添加したATP濃度との間には相関が認められた。従って、プローブIIはATP計測用プローブとしての使用が期待できると考えられる。
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