2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17750080
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原 賢二 北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10333593)
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Keywords | 金 / 触媒 / 錯体 / 表面 / 固定化 |
Research Abstract |
三価の金錯体の会合や不均化による触媒の失活を抑えるために金錯体を均一な表面上へ高密度固定化を行うこととした。そこで、まず配位子となるピリジルフェニル基を単結晶シリコン表面上に導入するために、ピリジルベンゼンジアゾニウム塩溶液を水素終端シリコン表画電極上で電気化学的に還元した。得られた表面をX線光電子分光(XPS)および分光エリプソメトリーにより評価したところ、還元電位および電気量に応じて異なる構造の分子層が形成したことが明らかとなった。また、原子間力顕微鏡(AFM)による観察から、還元条件によって分子層の平滑さを制御できることも示唆された。このようにシリコン表面上に固定化したピリジルフェニル部位を有する分子層を金錯体化することによって、高活性な三価の金錯体触媒の創製が可能になると期待される。 本研究の目的を達成し得る別の配位子として、含窒素ヘテロ環カルベンに着目した検討も行った。三価の金カルベン錯体を表面上に高密度固定化するために、種々の表面修飾法を試した。その結果、金表面および単結晶シリコン表面上にカルベン前駆体であるイミダゾリウム塩をそれぞれ導入する手法を確立した。また別法として、金錯体を直接表面上へ導入する手法についても検討を行い、目的の構造を得るまでに残り一行程を残すのみとなった。 研究代表者らが近年開発した剛直かつコンパクトで高い電子供与能を有する新規ホスフィン配位子を金表面上に導入する検討も行った。各種スペクトル測定から、直鎖アルカンチオールに近い高密度なホスフィン単分子層の形成が示唆された。このように高密度に固定化したホスフィン配位子の2次元配列を用いることにより、新規な活性を有する触媒の創製が可能になると期待される。
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