2006 Fiscal Year Annual Research Report
チオカルボニル化合物の触媒的酸化的脱硫化を伴う合成反応の開発と利用
Project/Area Number |
17750084
|
Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
芝原 文利 岐阜大学, 工学部, 助手 (60362175)
|
Keywords | 銅触媒 / 脱硫化 / 酸素化 / 環化 / 複素環 / ラベル化 / 重酸素 |
Research Abstract |
昨年度から引き続き、銅触媒を用いる酸素ガスによるチオアミドの脱硫酸素化反応を利用し、カルボニル酸素の重酸素ラベル化をめざした。昨年度ラベル化対象分子として、分子内に複数のカルボニル基を持つジペプチドを選び、選択的硫化-脱硫酸素化による位置選択的ラベル化を検討したが、目的のラベル化化合物も得られるものの、反応系が複雑になり、収率は芳しくなかった。そこで、本年度は、銅触媒に対する配位子など添加剤を検討することにより、目的の反応のみを進行させることをめざした。結果、配位子として、ビスオキサゾリン配位子、添加剤として触媒量のDMAPおよびN-ベンジルベンズカルボチオアミド、さらに水を添加することにより、副反応をある程度抑えることに成功した。この反応系を利用し、実際に重酸素ガス雰囲気下における重酸素ラベル化を行うと、目的の重酸素化物を約70%の収率で回収することができた。 一方、銅触媒による酸素ガスを酸化剤としてもちいる分子内環化反応として、本年度は新たに、チオアシル-1,3-アミノアルコールの環化反応を開発した。この反応系では、チオカルボニル基の酸化的な脱硫活性化の特徴が顕著に現われ、通常ルイス酸によるチオカルボニルの活性化では反応性の問題から進行しない、立体的に不利な環化反応も進行することが明らかになった。また、この反応系を利用することによって、これまで合成が困難であった、キラルビスオキサジン配位子の簡便合成法を開発した。さらに、同様のチオアシル-1,2-アミノアルコール、チオアシル-1,4-アミノアルコールからの環化にも成功し、この脱硫環化反応の汎用性を広げることができた。
|
Research Products
(3 results)