2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17750087
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 学則 京都大学, 工学研究科, 助手 (80359778)
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Keywords | β炭素脱離 / シクロブタノン / 環拡大反応 / ヘルベルテノール / ロジウム / ニッケル / インダノン / メタラサイクル |
Research Abstract |
本年度はロジウムシクロブタノラートからの不斉β炭素脱離を利用する天然物合成、ニッケルシクロブタノラートからのβ炭素脱離を利用する8員環ケトン合成を行なった。 ロジウムシクロブタノラートからの不斉β炭素脱離を利用する(-)-α-ヘルベルテノール合成:ロジウム(I)-光学活性ホスフィン錯体触媒を用いて2-ボリルフェニル基を3位に有するシクロブタノンの不斉付加/開環反応を行なったところ、ベンジル位不斉四級炭素を有する1-インダノン誘導体を最高95%eeで得ることに成功した。本反応により得られる3-(3-ベンジルオキシプロピル)-3,5-ジメチル-1-インダノンを用いて蘚苔類から単離されたセスキテルペンの一種(-)-α-ヘルベルテノールの合成を達成した。 ニッケル触媒によるシクロブタノンとジインを用いる[4+2+2]型環化反応による8員環ケトン合成:ビス(1,5-シクロオクタジエン)ニッケル(0)とトリシクロヘキシルホスフィンから調製したニッケル触媒存在下、シクロブタノンと1,6-ジインを100℃で加熱したところ、ビシクロ[6.3.0]ウンデカ-1,7-ジエン-3-オン骨格を有する生成物を高収率で与えた。また、配位子としてホスフィンの代わりに含窒素ヘテロ環カルベン(IPr)を用いると反応は室温で進行した。本反応は、まず0価ニッケル上でのシクロブタノンのカルボニル基とジインの二つのアルキン部位からの酸化的環化によってオキサニッケラシクロヘプタジエンが生成し、これからのβ炭素脱離によって9員環メタラサイクルを与え、最後に還元的脱離によって8員環不飽和ケトンを与えている。また、1,7-ジインも同様に反応し、対応する8員環ケトンを与えた。非対称シクロブタノンまたは非対称ジインを用いた反応からは、反応機構に関する様々な知見を得ることができた。
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Research Products
(10 results)