2005 Fiscal Year Annual Research Report
機能性有機分子を組み合わせた巨大システム構築のための「超分子合成化学」
Project/Area Number |
17750091
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
佐竹 彰治 奈良先端科学技術大学院大学, 物質創成科学研究科, 助手 (00277831)
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Keywords | ポルフィリン / 自己組織化 / 超分子 / 配位結合 / 異性化 |
Research Abstract |
動的構造変換は超分子系における特徴である。系内の温度、濃度、他の溶質濃度をコントロールすることによって、その構造を制御することができれば、省エネルギー且つ高い選択性を持つ分子変換が可能になる。本研究では外部配位子の配位状態によって構造が可逆的に変換される超分子系を見出した。2つの亜鉛ポルフィリンをメソ位置でアセチレン基によって連結し、その一方の対面するメソ位置にイミダゾリル基を置換した化合物1を合成した。1はテトラクロロエタンなどの非配位性溶媒中で、イミダゾール/亜鉛配位をして自己組織化二量体を形成する。2つの亜鉛ポルフィリンに対するイミダゾリル基の配位形式の違いによって、スタック体(S体)と伸張体(E体)の2種類の異性体混合物を与えた。スタック体に配位性溶媒であるピリジンやメタノールを加えて未配位の亜鉛ポルフィリンに配位させると伸張体を定量的に与えた。また、外部配位子を亜鉛から解離させ、平衡下におくと再びスタック体を形成することがわかった。この平衡系の熱力学パラメーターを温度可変NMRによって求めたところ、スタック体から伸張体への異性化反応はエンタルピー的に正でエントロピー的には負であり、配位によるわずかな熱力学パラメーターの変化によって構造変換が起こっていることを明らかにした。伸張体はスタック体に比べて、蛍光量子収率が高く、両者の電子物性は大きく異なることがわかった。
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