2006 Fiscal Year Annual Research Report
キレート配位子を主鎖骨格とする一次元芳香族π共役高分子の開発とその機能探索
Project/Area Number |
17750102
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
福元 博基 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (70313369)
|
Keywords | 高分子合成 / ナノ材料 / 高分子錯体 / 有機金属化学 |
Research Abstract |
本研究では、キレート配位子の一次元高分子化および得られた高分子の金属による錯形成に基づいた機能特性の探索(化学センサー、有機EL素子など)を目指している。昨年度は二座ビピリミジンおよびシップ塩基部位を含むサレン型配位子をそれぞれ主鎖骨格に組み込んだπ共役高分子の合成を中心に行った。今年度は得られた高分子の金属錯体化とそれらの金属錯体の性質について詳しく検討を行った。ビピリミジン配位子とジアルキルフルオレンの交互共重合体は様々な遷移金属と反応し、そのUV-visスペクトルの吸収極大は長波長へシフトする。このシフトの程度は反応させる金属イオンの大きさと金属上の配位子に依存することを見出した。例えば、銅(II)、ニッケル(II)などの塩化物との反応では80nm長波長シフトするのに対し、それらのアセテート、アセチルアセトナート錯体では45nmしか長波長シフトしない。これは、嵩高いアセテート、アセチルアセトナート配位子が金属上を覆うため、主鎖骨格に組み込まれているビピリミジンユニットの金属への配位空間が狭まり、ビピリミジンの二つピリミジン環が若干ねじれた状態になる。その結果、主鎖のπ共役系の広がりが抑えられるためだと考えられる。ランタノイド金属の場合、金属自身が大きいため金属上の配位子の影響はほとんど受けず、長波長シフトも10-20nm程度と小さいことも明らかにした。また、塩酸との反応では、ピリミジン環窒素のプロトネーションが起こり、UV-visスペクトルの吸収極大が60nm長波長へシフトしたことから、酸に対する応答も確認された。
|
Research Products
(1 results)