2006 Fiscal Year Annual Research Report
高分子鎖の選択的振動励起による高分子膜中の一次水和水の直接観測システムの構築
Project/Area Number |
17750105
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
源明 誠 富山大学, 理工学研究部(工学), 助手 (70334711)
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Keywords | 高分子薄膜 / スペクトル成分 / 赤外ポンプ-ラマンプローブ分光 / 一次水和水 / 二次水和水 |
Research Abstract |
昨年度に引き続き、赤外ポンプ-ラマンプローブ分光測定装置による高分子の一次水和水直接観測システムの構築を行い、一次水和水と二次水和水のスペクトル成分の相違を解析した。 具体的には、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PSt)膜中に浸透した水について解析した。PEGおよびPMMAの評価から、その一次水和水は、いずれも酸素原子に局在化していることが明らかとなったが、ケト酸素原子に一次水和した水のスペクトル成分は、-C-O-C-の酸素原子に二次水和した水のスペクトル成分よりも、低波数側に存在することが明らかになった。さらに、収着させる水を軽水から重水に置き換えることで得られるスペクトルの解析から、一次水和水のうち、僅かではあるが、2つの酸素原子を架橋するように水和した水の存在も明らかになった。このような一次水和水のスペクトル成分は、いずれの二次水和水の成分よりも低波数側に存在することが明らかになった。一方、効果的な水素結合サイトをもたないPStの場合、その一次水和水は、PStのベンゼン環に局在化しており、また、水蒸気接触の場合には、二次水和水は存在しないことが分かった。 また、熱摂動を与えた際に生じる一次水和水の状態変化を検討したところ、PEGおよびPMMAでは、冷却にともない一次水和水は減少し、相対的に、二次水和水が多く形成されることが分かった。一方PStにおいても、冷却に伴う一次水和水の減少は同様に観測されたが、PEGやPMMAの場合とは異なり、二次水和水に由来するスペクトル成分を明確に捉えることはできなかった。PStの場合には、減少した一次水和水は液化し、相分離状態で存在することが判明した。
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Research Products
(4 results)