2006 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性体を触媒的に用いた完全一方向巻きらせん高分子の創製
Project/Area Number |
17750107
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森野 一英 名古屋大学, 大学院工学研究科, 助手 (00362286)
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Keywords | らせん / ポリフェニルアセチレン / 光学活性 / 不斉増幅 / 記憶 / 誘起円二色性 / 高分子 |
Research Abstract |
我々は、少量の光学活性アミンによって側鎖にカルボキシル基を有するポリフェニルアセチレン誘導体に誘起されたわずかな片寄りのらせん構造が、ナフチルメチルアミン(NMA)のようなかさ高いアキラルアミンの添加によりほぼ一方向巻きのらせん構造へと不斉増幅された後、アキラルアミンにより記憶可能であることを既に見い出している。前年度の研究で、側鎖にボスホン酸残基を有するポリフェニルアセチレン誘導体(poly-1)に誘起されたらせんキラリティーが、NMAだけでなく様々なアキラルアミンにより不斉増幅され,さらにアキラルジアミンを用いて増幅されたらせん構造を記憶することに成功している。本研究では、前年度までに得られた知見をもとに、poly-1のらせんキラリティーの不斉増幅現象を利用して、極く微量の光学活性アミンのキラリティーを検出可能かどうかについて検討した。 Poly-1のDMSO/DMF(1/9,v/v)溶液に、モノマーユニットに対してわずか0.001(1/1000)当量という光学活性アミン存在下、NMAを添加し、そのCDスペクトルを-55℃で測定したところ、一方向巻きのらせん構造に由来する明確な誘起CDが観測された。また、さらに少量の0.0005(1/2000)当量という光学活性アミン存在下においても、明確な誘起CDを観測可能であった。以上の結果は、アキラルアミンによるらせんキラリティーの不斉増幅現象を利用して、通常検知不可能な極く微量の光学活性アミンのキラリティーを、CDスペクトルにより検知可能なことを示している。また、極く微量の光学活性アミンとNMAにより誘起されたpoly-1のらせんキラリティーは、アキラルなトリアミンを用いて記憶することも可能であった。
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Research Products
(4 results)