2005 Fiscal Year Annual Research Report
相溶性高分子混合物の表面偏析に及ぼすブロック共重合化の影響
Project/Area Number |
17750108
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川口 大輔 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70362267)
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Keywords | 相溶性高分子 / 表面偏析 / ブロック共重合体 / ポリ(4-トリメチルシリルスチレン) / 中性子反射率 / 表面自由エネルギー |
Research Abstract |
高分子混合物の表面・界面における組成がバルクのそれと著しく異なっていることはよく知られているが、表面・界面における高分子鎖一本の形態を理解するまでには至っていない。これを明らかにするためには、重水素ラベルを施したような標識となる分子鎖を、高選択的に表面のみに偏析させる技術を確立することが重要である。本研究では、構成成分のブロック共重合化に着目し、分子鎖の表面に対する偏析力に及ぼすブロック共重合化の影響について明らかにすることを目的とする。 今年度は、まず、相溶性高分子の組み合わせであるポリ(4-トリメチルシリルスチレン)(PTMSS)もしくは重水素化PTMSS(dPTMSS)とポリイソプレン(PI)のブレンド膜の表面凝集構造について検討を行った。50:50wt%で混合した(dPTMSS/PI)ブレンド膜の中性子反射率測定を行い、表面はdPTMSSが覆い、基板界面ではPIが選択的に濃縮することを明らかにした。(PTMSS/PI)ブレンド膜における表面自由エネルギーを接触角測定に基づき評価した。PTMSSの体積分率が50%以上の場合、(PTMSS/PI)ブレンド膜の表面自由エネルギーは、PTMSS膜のそれとほぼ等しく、最表面がPTMSSで覆われいてることを示している。PTMSSの体積分率が50%以下になると、(PTMSS/PI)ブレンド膜の表面自由エネルギーはPTMSS分率の減少に伴ない徐々に低下し、PTMSS膜のそれよりも小さくなった。この結果は、表面近傍のPTMSS分子の濃度の低下に伴なって、側鎖の配向または分子鎖全体のコンホメーションが変化していることを示唆している。現在、dPTMSS-PIブロック共重合体を合成し、その薄膜の中性子反射率測定も同様に行い、表面および基板界面近傍における組成分布について検討を行っている。
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