2005 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス構造を模倣した多糖/核酸複合体による新規遺伝子導入剤の開発
Project/Area Number |
17750111
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
穴田 貴久 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (30398466)
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Keywords | 多糖 / 核酸複合体 / 遺伝子導入 / バイオテクノロジー / 核酸 |
Research Abstract |
天然多糖シゾフィラン(SPG)と核酸の複合体を応用して遺伝子DNAの細胞へのデリバリーを目指し研究を行った。SPGは特定の配列を有する一本鎖核酸を認識して高分子複合体を形成する性質を持つ。そこで、遺伝子組換え技術を駆使し、直鎖状DNAへpoly(dA) tailを付加することで遺伝子DNA/遺伝子DNA複合体の形成を試みた。SPGそのものには細胞膜透過性がないため細胞膜親和性を有するペプチドをSPG側鎖に化学修飾した。この化学修飾SPGとtail付加DNAを混合することで複合体形成を行い、原子間力顕微鏡(AFM)やゲル電気泳動を用いて複合体形成を確かめた。AFM観察より、SPGは直鎖状DNAの両末端に結合しており、ある種のウイルスゲノム構造に似たダンベル状構造を取っていることがわかった。この複合体を培養細胞に添加し、遺伝子導入を行った。用いた遺伝子は最近、タンパク質発現を特異的に抑制することができるツールとして注目を集めているRNAi(RNA干渉)遺伝子とし、複合体形成による効果を調べた。その結果、細胞親和性ペプチド修飾SPGと遺伝子を複合化することでRNA干渉効果の向上が確認できた。さらに、合成したペプチド修飾SPGは、一般的に遺伝子導入剤として用いられているカチオン性ポリマーと比べて細胞毒性が著しく低いことが確かめられた。これらの成果はJournal of Controlled Release誌へ投稿し、すでに受理されている。
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