2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17750112
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
竹岡 裕子 上智大学, 理工学部, 助手 (50338430)
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Keywords | 生分解性高分子 / 酵素重合 / 水酸アパタイト / 有機・無機複合材料 / 機械的特性 / 生体組織代替材料 |
Research Abstract |
水酸アパタイト(HAp)は生体安全性、生体適合性、及び骨伝導性に優れており、代替骨材料として期待されている。しかし、機械的強度、及び耐衝撃性が劣る為、応用範囲が限られている。本研究では、多孔性水酸アパタイト(HAp)中で、生分解性高分子を重合することによって、HAp/生分解性高分子複合体を作製し、より生体骨に近い強度を有する材料を得ることを目的とした。 1.酵素重合法を用いた生分解性高分子の合成 HApに複合化する生分解性高分子の合成条件の最適化を行った。生分解性高分子であるポリ乳酸(PLLA)、ポリグリコール酸(PGA)は、医用高分子材料として臨床応用されている。疎水基を有するPLLAは、PGAと比較して分解性が低く、単独では分解速度の制御が困難である。本研究では、PLLAとPGAを酵素触媒(リパーゼ)を用いて共重合化することにより、分解性の異なる数種の高分子の合成を試みた。仕込み比を変化させて重合を行った結果、反応時間の最適化を行うことにより、ポリ乳酸含有率が0、11、50、70、100%の各PLLA-PGA共重合体を得ることに成功した。酵素分解試験の結果、ポリグリコール酸の分解速度が速いのに対し、ポリ乳酸含有率の増加に伴い、分解速度が遅くなることが分かった。この結果から、共重合によって、分解速度の制御が可能であり、生分解性の異なる材料を得られることが分かった。 2.HAp中における生分解性高分子の酵素触媒重合 多孔性HApの孔中で、酵素を触媒に用いて生分解性高分子PLLAをIn-situ重合し、有機・無機複合材料を作製した。SEM観察、及び気孔率測定の結果、重合時間の増加とともに、多孔体中にPLLAが充填された複合体が合成できることを確認した。また、PLLAの導入により、力学的特性が向上し、この複合体に更に熱処理を施すことにより、HAp孔内のPLLA分子鎖の再配列が促され、力学的強度が向上することも明らかとなった。
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