2005 Fiscal Year Annual Research Report
光化学変換系モデル化のための有機二重層フィルムで構成される可視域光触媒の創製
Project/Area Number |
17750118
|
Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
阿部 敏之 弘前大学, 理工学部, 助教授 (20312481)
|
Keywords | 光エネルギー変換 / 光触媒 |
Research Abstract |
研究代表者はこれまでにペリレン誘導体とフタロシアニンからなる二重層フィルムが湿式系の光電極として適用できることを明らかにし報告している。例えば、二重層フィルム中のフタロシアニン/水界面では、光誘起の酸化反応が起こることを光電気化学法により見いだしている(参考:ChemPhysChem,5,716-720(2004);J.Electroanal.Chem.,587,127-132(2006);Angew.Chem.Int.Ed.,45(17),2778-2781(2006);J.Solid State Electrochem., in press.)。 本研究では、上記を踏まえて、ペリレン誘導体/フタロシアニン系フィルムの光触媒特性に関する検討を行った。被酸化物質としてメチレンブルー(標準有機試料)を用い、その水溶液中で二重層フィルムによる分解活性を調べた。その結果、二重層フィルムへの可視光照射によりメチレンブルーの分解が進行することを確認した。さらに、光電気化学的条件下においても、メチレンブルー存在下で光アノード電流の発生が確認されたことから、光誘起の酸化分解の進行が支持された。 対照実験として、酸化チタンを用いた条件でもメチレンブルーの分解反応を調べたが、可視光照射下でのメチレンブルー分解は確認できなかった。酸化チタンは太陽光中のエネルギー密度が極めて低い紫外光にのみ応答するため、少量・低濃度物質の分解除去に対して大きな効果を発揮するが、本二重層フィルムは広範な可視領域の光エネルギーが利用できることから、大量・高濃度物質の分解除去システムとしての適用が期待できる。以上のように,先行している無機材料系でもほとんど実現されていない可視全域の光エネルギーに応答する光触媒技術を,有機材料系で創出できた。今後は単位時間当たりの活性の向上に関する検討等を行い、本研究の遂行を目指す。
|