2005 Fiscal Year Annual Research Report
自己複製ベシクルにおける膜分子立体構造の世代間伝達の解析
Project/Area Number |
17750121
|
Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
高倉 克人 鈴鹿工業高等専門学校, 講師 (60396843)
|
Keywords | ジャイアントマルチラメラベシクル / 双頭極性型両親媒性分子 / 形態変化 / 蛍光顕微鏡 |
Research Abstract |
天然に存在するリン脂質1-Palmitoyl-2-Oleoyl-sn-glycero-3-phosphatidylcholine(POPC)から作成したジャイアントマルチラメラベシクル(GMV)の分散液に、人工的に合成した双頭極性型両親媒性分子を添加すると、GMVがカップ状に変形し、引き続きGMVの内部に存在しているベシクルが部分的にGMVの外に出ようとした後で、GMVが元の形に復元するという現象が見出された。 一方、双頭極性型両親媒性分子の溶液に単頭極性型の界面活性剤を少量混合したものを添加すると、GMVの外膜が変形し、その後球状に復元するという動的挙動が、内包されたベシクルに伝播し、その結果GMV内に存在していたベシクルが外水相へと放出される"birthing"が光学顕微鏡観測により判明した。 さらに、GMVを形成するリン脂質と、添加する相当極性型両親媒性分子、さらには単等極性型両親媒性分子のそれぞれについて、異なる蛍光色の色素を結合させた化合物を別途に合成し、これらを混合させた系について蛍光顕微鏡を用いてGMVの形態変化を観測した。その結果、GMVの外膜と、内部から放出されるベシクルとの間に顕著な蛍光色の違いが観測された。この観測より、GMV外膜の変形・復元ダイナミクスは、添加した両親媒性分子の浸透したレイヤーでのみ起こることが示唆された。さらに、ベシクルが放出される機構として、外膜中で双頭極性型分子が飽和すると単等極性型界面活性剤がGMVの膜間の水相に溶出し、これにより外水相との間に浸透圧の差が生じて外部から水の流入が起きることで、外膜に穴が生じ、そこから内部のベシクルが放出されるという機構が示唆された。
|
-
[Journal Article] Fluorescence Microscopic Investigation on Morphological Changes of Giant Multilamellar Vesicles Induced by Amphiphilic Additives2006
Author(s)
Toyota, T., Tsuha, H., Yamada, K., Takakura, K., Yasuda, K., Sugawara, T
-
Journal Title
Langmuir 22・5
Pages: 1976-1981
-