2006 Fiscal Year Annual Research Report
アゾベンゼン修飾による光応答性メゾ多孔体の構築とその応用
Project/Area Number |
17750123
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
田中 敏弘 東京工業大学, 資源化学研究所, 助手 (20361777)
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Keywords | アゾベンゼン / 光応答 / メゾ多孔体 / 細孔径 / 光異性化 / 光スイッチ |
Research Abstract |
シリカメゾ多孔体の持つ規則性ナノ細孔内に、アゾベンゼン(Az)分子を放射状に配置すれば、光異性化に伴って細孔径が可変化できると考え研究を行っている。前年度まで、MCM-41(M41)にp-トリエトキシシリルアゾベンゼンを反応させて調製したAz修飾M41(Az-M41)の細孔径が可逆的に変化すること、その変化幅を最も引き出しうるAz基表面密度(0.9個/nm^2)が存在することを明らかとしていた。本年度はまず、細孔径変化に伴って細孔内分子の物性がどのように変化するかを検討した。Az-M41中にテトラフェニルポルフィリンなどの数種の蛍光性分子を導入し、異性化前後で蛍光ならびに吸収スペクトルが変化するかどうかを調べたが、いずれも変化を見出すことはできなかった。これは、Az基が細孔表面に対して直立した状態で固定されていないためと考えられる。 そこで、細孔内分子に対し光異性化により何らかの摂動を与える別の試みとして、分子サイズが光により可変となる化合物の利用を考えた。具体的にはポルフィリン(Por)環にAz基を4つ直結した化合物(テトラキス[4-(フェニルアゾ)フェニル]ポルフィリン、Az4P)を用いた。しかし、Az4Pは溶液中で異性化が全く進行しないことが知られる。この試みの検討中に、この化合物がシリカメゾ細孔内に担持されると異性化が進行するようになることを見出した。異性化率と細孔径の関係を検討したところ、細孔径が分子に近いときに異性化率が高くなり、またフェニル基で被覆したメゾ細孔内に導入するとさらに異性化率が増した。これはAz基が細孔表面と多点接触することで、その自由回転が抑えられるのに伴い、励起したAz基からPor環へのエネルギー移動が抑制されるためと考えられる。
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