2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17750124
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
岩松 将一 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 助教授 (60345866)
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Keywords | フラーレン / 分子内包 / 有機化学合成 |
Research Abstract |
フラーレン骨格を切断して得られる開口フラーレン(穴のあいたフラーレン)は、開口部を通じてフラーレン内部へ小分子を封入することが可能である。一般に内包フラーレンとして良く知られている、分子・金属種を完全に内部に閉じ込めた化合物とは異なり、開口フラーレンへ封入した分子は、可逆的に取り出すことができる。従って、新たなフラーレンホスト-ゲスト化学の展開、分子貯蔵材料・センサーなどへの応用が期待されている。 本研究グループでは、フラーレン結合を位置選択的に逐次切断することによる、開口フラーレンの開口部の環拡大反応を見出し、現在最大の開口径をもつ開口体の合成に成功した。これにより、水を内包したフラーレン誘導体を初めて合成することに成功した。本研究は、この大口径開口誘導体を起点化合物として、(1)封入報告例のない化合物群の封入による新規内包誘導体の開拓、(2)封入・排出ON/OFF過程の電子・光学的検出と制御の実現を目的とするものである。 本年度は、水内包開口フラーレン誘導体を用いて、包接種の拡張を中心に検討を行った。その結果、これまで未達成で報告例のないガスの封入に新たに成功した。現在、これらの化合物の構造決定、封入・排出特性の速度論的な評価、及び理論計算実験による安定化エネルギーの評価を行っている。また、起点化合物として用いている開口体は水分子を自発的に包接するが、このような包接特性は他の分子では認められない。水に特徴的な封入・排出特性の速度論評価、自発的内包のドライビングフォース解明、内包された水の単一分子挙動観察についても実験を進行中である。
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