2005 Fiscal Year Annual Research Report
電場・磁場・光に応答する金属錯体液晶の構築および物性評価
Project/Area Number |
17750130
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
速水 真也 九州大学, 理学研究院, 助手 (30321912)
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Keywords | 金属錯体液晶 / スピンクロスオーバー / コバルト(II)錯体 / 鉄(II)錯体 / 構造相転移 / 逆スピン転移 |
Research Abstract |
金属錯体液晶はMetallomesogenと呼ばれ、有機液晶と異なり、金属イオン特有の電子スピン、電荷を応用することで新しい機能を生み出す可能性がある。そこでスピン転移と液晶特性の両方の性質を示す化合物を構築することを目的とした。鉄(II)化合物[Fe(L)_2(NCS)_2]は、DSC、粉末X線回折、偏光顕微鏡による光学模様の観察より、72℃で液晶相に転移する事が明らかになった。また磁化率の測定結果より、スピン転移挙動とLIESST現象が観測された。したがってこの化合物は、1つの化合物中に「スピン転移現象」、「光誘起スピン転移現象」、「液晶特性」の三つの物理特性をあわせもつ最初の化合物を合成する事に成功した。 さらに長鎖アルキル鎖を有する金属錯体は、液晶特性の発現のみならず、その長鎖の熱的振動あるいは大きな構造相転移から中心金属イオンに大きな影響を与えるものと考えられる。さらにそのような効果から新規な物性発現も期待できる。長鎖アルキル鎖を有するコバルト(II)化合物[Co(C16-terpy)_2](BF_4)_2は、単結晶構造解析の結果から中心の金属錯体部分から長鎖アルキル基が両サイドヘ伸びている様子がわかる。この化合物は低温側で高スピン状態、高温側で低スピン状態を示すいわゆる逆相転移挙動の振る舞いをする。通常スピン転移現象は、低温側で低スピン状態、高温側で高スピン状態を基底状態としてとる。しかしながら金属錯体液晶として長鎖アルキル鎖を導入したこの錯体では、長鎖アルキル鎖の熱運動により、現在まで考えられなかった挙動を示すようになる。すなわち低温側で高スピン状態、高温側で低スピン状態をとり、逆スピン転移現象を観測することに成功した。
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Research Products
(9 results)