2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポテンシャル傾斜型樹状球形高分子を活用した新しい光増感触媒の開発
Project/Area Number |
17750134
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
今岡 享稔 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (80398635)
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Keywords | デンドリマー / ポルフィリン / フェニルアゾメチン / 電子移動 / 光化学 / 金属集積 / 錯形成 / 触媒 |
Research Abstract |
既に確認されている、亜鉛ポルフィリンがコアのフェニルアゾメチンデンドリマーを用いた長寿命・高効率の電荷分離について、その原理検証を行う目的で新たにナフタレンジイミドをコアに持つデンドリマーを合成した。同定はNMR、MALDI-TOF-MSより行った。UV-visスペクトルを用いた滴定実験により、従来のデンドリマーと同様に内側の層からの段階的な錯形成が進行することを確認した。本デンドリマーに亜鉛ポルフィリンを添加し、光励起に伴うデンドロンを隔てた電子移動を生起させた場合、長寿命を達成しているポルフィリンコアの系とは逆向きの電子透過をすることになる。このようにして生成した電荷分離状態(ラジカルイオン対)の寿命・量子収率はポルフィリンコアの系に比べて下回った。電子移動速度定数の定量的な評価より、デンドリマーの世代数増加に伴い、ポルフィリンコアの系では電荷分離を促進し、逆にナフタレンジイミドコアの系では抑制する効果を突き止めた。以上の結果は当初予想していたデンドリマーの電子密度勾配による、電荷分離の方向制御を支持する。また、分子軌道計算より求めたイミン窒素上の電子密度(Mulliken Charge Population)は内側から外側への段階的で連続的な勾配を示した。すなわち、電子密度の勾配と電荷分離の向きが揃った順勾配の系では大幅に電荷分離が促進され、反対向きとなった逆勾配の系では抑制されることが明らかとなった。この電荷分離は特定のアニオン種(Cl^-,Br^-等)の共存によっても促進される。この効果は配位性の強いアニオンが電荷分離によって生成したカチオンラジカルデンドリマーに包摂され、安定化される効果であると考えられる。
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