2005 Fiscal Year Annual Research Report
アニオンに対する協同的な認識を利用した超分子ポリマーの構築
Project/Area Number |
17750137
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
前田 大光 立命館大学, 理工学部, 助教授 (80388115)
|
Keywords | 有機化学 / 生体分子 / 分子認識 / 自己組織化 / 超分子化学 |
Research Abstract |
ピロール環窒素部位における非共有結合性相互作用を利用することによって、多様な機能性素材や超分子組織体の構築に挑戦している(Chem.Lett.2005,Pure Appl.Chem.2006,および投稿中)。非環状型オリゴピロールの機能性の探究は端緒についたばかりであり、種々のピロール誘導体とマロニルクロライドから1,3-ジピロリル-1,3-プロパンジオンを新たに合成し、その誘導体のアニオン認識能を検証した。プロパンジオン誘導体は、いずれもBF_3-OEt_2を用いることによってジケトン部位でのBF_2錯体を良い収率で与えた。この蛍光性色素分子は、2個のNH部位だけでなく、架橋位のCH部位を用いてアニオンと相互作用することが、^1H NMRの化学シフト変化から明らかとなった(Chem.Eur.J.2005)。さらに、相互作用部位を欠損したBF_2錯体誘導体のアニオン認識挙動から、CHが「補助的な」相互作用部位として不可欠であることが示された(J.Org.Chem.2006)。 BF_2錯体はCH_2Cl_2中において種々のアニオン、特にCH_3CO_2^-に対して効果的な錯形成能を示すことが、Bu_4N^+塩添加に伴うUV/vis吸収スペクトルの変化からも示唆された。β-無置換型はF-添加、β-F置換型の場合はF-およびCH_3CO_2^-、H_2PO_4^-添加によって蛍光消光が見られた。さらに、いずれの誘導体もCl^-を相互作用部位で架橋した1次元超分子ネットワークを構築することがX線構造解析で示された。 BF_2錯体はCH_3CO_2^-に対して高い会合能を示すことから、生体アニオンであるアミノ酸との錯化挙動を検証した。L-フェニルアラニンBu_4N塩の添加に伴うUV/vis吸収スペクトル変化が観測され、さらに、円二色性(CD)スペクトルではL体とD体における逆のコットン効果が示された(投稿中)。
|