2005 Fiscal Year Annual Research Report
二酸化炭素固定化能を有する高活性遷移金属錯体触媒の開発とその利用
Project/Area Number |
17750145
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
園田 素啓 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 助手 (90314400)
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Keywords | 有機工業化学 / 触媒反応 / 高機能錯体 / 二酸化炭素 / ジエチニルベンゼン / 不活性分子の固定化 |
Research Abstract |
本研究では、ホスゲン代替物質やCl化学原料としての用途が期待されている二酸化炭素の固定化と有機合成への利用が同時に行える機能性金属錯体の開発、ならびにそれを用いる触媒反応の確立を目的としている。一般に、二酸化炭素は多くの反応に対して不活性であり、これを反応剤として利用することは困難であることが知られている。そこで遷移金属錯体の配位子として二酸化炭素との親和性が高い官能基(たとえばアミノ基)を持った配位子を設計し、この金属錯体を用いた二酸化炭素の活性化を図る。 まず、鍵となる配位子ユニットであるアミノ基を1つあるいは2つ有するビスピリジルエチニルベンゼン誘導体の合成を行った。ジブロモベンゼンを出発物質とし、ニトロ化およびアミノ化を段階的に施した後、ピリジルアセチレンとの薗頭反応によって合成する経路を試みた。しかし、ニトロ化の段階において目的とする1,2,3-置換体の生成量が低いこと、アミノ基の電子供与性のために薗頭反応におけるエチニル化の効率が低いこと、構造不明の副生物が多く得られ完全な分離精製に至らなかったこと、などにより十分な量の配位子ユニットを得ることができなかった。さらに検討を加え、薗頭反応とアミノ化の順序を逆に行うことによって、目的とする配位子ユニットの生成量、純度ともに大きく向上させることに成功した。しかし、依然としてニトロ化の段階の選択性が極めて低いという問題が残っているため、合成経路についてさらに見直す必要がある。また、アミノ基を2つ有する配位子ユニットの合成についてもとりかかっており、ジブロモキシレンを出発物質として上と同様に、現在、ニトロ化とエチニル化までを行っている。 今後、ニトロ基の還元を行って配位子ユニットを合成したのち、これらのユニットと遷移金属(Pd, Cu, Coなど)との錯体形成を行い、それらの二酸化炭素の固定化能について検討していく予定である。
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