2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17750151
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村上 裕 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (10361669)
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Keywords | アミノアシルtRNA / リボザイム / 翻訳 / 非天然アミノ酸 / 試験管内進化 |
Research Abstract |
非天然アミノ酸変異法は、人工的な官能基を蛋白質に部位特異的に導入する優れた方法である。この変異法にはアシルtRNAの合成が必須であり、我々はリボザイムを人工的に進化させることでアシルtRNAの合成を簡便化することを提案してきた。これまでに試験管内分子進化により創製したRNA触媒を用いて、Phe誘導体でアシル化されたtRNAの合成に成功している。本課題では、RNA触媒を進化させ、本方法をPhe誘導体以外の非天然アミノ酸に拡張することを目的とした。 RNA触媒の基質となるアミノ酸は、カルボン酸をエステル化して弱く活性化したものを用いている。これまでの研究から、RNA触媒は基質の脱離基を認識せず、側鎖の芳香環を認識するため、側鎖に芳香環を持つアミノ酸のみがRNA触媒の基質となることが分かっていた。そこで、もしRNA触媒の基質認識部位を、側鎖から脱離基に変更できれば、様々な側鎖をもつアミノ酸をtRNAに連結することが可能になると考えた。この設計指針によって、脱離基に芳香環(認識部位)をもつ新しい基質を合成した。この基質は当初の考え通り、既存のRNA触媒の基質となったが、そのアシル化効率は低かった。そこで新しい基質に対してRNA触媒を最適化するため、試験管内進化を行なった。得られたRNA触媒は進化を行なう前のものに比べ、5倍以上の活性を持っていた。このRNA触媒と、脱離基に芳香環(認識部位)をもつ基質を用いることで、これまでの基質の制限を大幅に取り払ったtRNAアシル化法が完成した(Nat.Methods 2006)。今後、本方法によりアシルtRNAの合成が簡略化され、非天然アミノ酸を用いた蛋白質の改変が容易になると考えられる。さらには、RNA触媒を遺伝暗号のリプログラミングと組み合わせ、非天然型ペプチドを調整することで、革新的な創薬技術の開発に応用できると期待される。
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Research Products
(5 results)