2005 Fiscal Year Annual Research Report
人工塩基対を用いた転写系によるRNAの部位特異的蛍光標識化
Project/Area Number |
17750152
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三井 雅雄 東京大学, 先端科学技術研究センター, 科学技術振興特任教員(特任助手) (60345155)
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Keywords | 人工塩基対 / RNA / 転写 / 蛍光標識 |
Research Abstract |
本研究は、蛍光性人工塩基を、転写によりRNA中に部位特異的に導入することにより、機能性RNA分子の構造や反応の追跡を可能とする蛍光プローブとしての可能性を詳細に検討し、その蛍光シグナルを有効に利用して、機能性RNA分子の微細な構造変化やそれらが関わる生体反応機構を解明することを目的としている。 初年度である17年度は、われわれが開発に成功した転写で機能する蛍光性人工塩基6-(2-チエニル)-2-アミノプリン(s)や6-(2-チアゾイル)-2-アミノプリン(v)のヌクレオシドおよびヌクレオチドの蛍光特性を、代表的な蛍光性塩基として知られている2-アミノプリン(AP)と比較することにより調べた。最初にそれぞれのヌクレオシドの蛍光特性を調べた結果、APの発光極大が370nmを示すのに対し、sは434nm、vは457nmとプリン環6位の置換基の種類によってその発光極大は長波長側にシフトすることがわかった。また、蛍光性人工塩基対の蛍光量子収率は、APが0.68であるのに対し、sは0.41、vは0.46と大きな量子収率を保持していることがわかった。 次に、核酸中に導入された蛍光性人工塩基の蛍光特性を調べるため、まずDNA(12mer)の中央にsを導入したオリゴヌクレオチドを化学合成により合成して、ヌクレオチドレベルでのsの蛍光特性がどのように変化するかを調べた。その結果、一本鎖DNA中に導入されたAPの蛍光は、ヌクレオシドレベルの約6%に消光されてしまうのに対し、sを導入した一本鎖DNAの蛍光はヌクレオシドレベルの約47%にしか消光されず、隣接する天然の核酸塩基による消光作用をあまり受けないことがわかった。また、sの蛍光は二本鎖DNAの融解挙動に対応して変化することから、APよりも感度よく核酸の構造変化を追跡できる蛍光プローブとして利用できることがわかった。この蛍光性人工塩基sは、鋳型中のイミダゾリン-2-オン(z)に対して転写でRNA中に導入できるが、さらにピロール-2-カルバルデヒド(Pa)に対して選択的にしかも効率よくRNA中に転写で導入できることも新たにわかり、効率のよいRNAの部位特異的標識化の手法もあわせて確立することができた。
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Research Products
(6 results)