2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規ペプチドライゲーション法の開発とそれを用いる膜蛋白質合成
Project/Area Number |
17750158
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川上 徹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (70273711)
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Keywords | ペプチド合成 / ペプチドチオエステル / ペプチドエステル / ケミカルライゲーション / N-Sアシル基転位反応 / 蛋白質合成 / 膜蛋白質 |
Research Abstract |
近年,ペプチドセグメントを縮合することによる種々の長鎖ペプチド合成法が報告されている.本研究では取扱いの難しい難溶性膜貫通型蛋白質の合成を目的とする新規ペプチドライゲーション法の開発を目的としている.これまでのペプチドライゲーション法ではほとんどの場合,ペプチドチオエステルが合成ブロックとして用いられてる.しかし,そのペプチドチオエステルは既存の一般的なFmoc固相合成法では調製することができない.この方法ではFmoc基を除去する際に用いるピペリジンによってチオエステルが分解する.Fmoc法をベースとするペプチドチオエステル合成法がいくつか報告されているが,汎用的なものは開発されていない.今回は,ペプチドチオエステルではなく,ペプチドエステルを合成ブロックとして用いる新しいライゲーション法を開発した.この合成ブロックはFmoc法により調製することが可能であり,ネイティブケミカルライゲーションおよび拡張型ライゲーション法に適用することができる.また,ペプチドチオエステルへと誘導することも可能である. また,N-Sアシル基転移反応を利用するペプチドチオエステルの新しい合成法を開発した.報告者らが開発したライゲーション補助基はペプチド鎖中において,酸処理によりN-Sアシル基転移反応を起こし,ペプチド結合からチオエステル結合が形成されることが判明した.この現象を利用してペプチドチオエステルを合成することに成功した.本法もFmoc法に適用することが可能である.Fmoc法によるペプチドチオエステル合成にはさまざまな制約があるが,今回の方法では,直接チオエステルを合成した際に見られるラセミ化をほとんど伴わないことがわかった. 今後これらの成果は膜蛋白質合成に適用されるものと期待される.
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