2005 Fiscal Year Annual Research Report
位置特異的にニトロ化したシグナル伝達蛋白質合成とそれを用いた細胞癌化機構の解明
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17750161
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
瀧 真清 岡山大学, 大学院自然科学研究科, 助手 (70362952)
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Keywords | 蛋白質 / 翻訳後修飾 / 4塩基コドン / 非天然アミノ酸 / 癌化 / ニトロチロシン / CHO細胞 / GFP |
Research Abstract |
ペルオキシニトリト(ONOO^-)によって引き起こされる癌化の機構を分子レベルで解明し、癌の予防や治療指針に役立てることを計画し実験を行った。具体的には、申請者らが確立した手法を用いて、MEK蛋白質内の特定のチロシン残基だけを3-ニトロチロシン残基に置換した様々なMEK蛋白質を作成し、細胞内外で活性評価を行った。MEK蛋白質中のどの位置のアミノ酸がニトロ化されたときにMEKが自己リン酸化され、細胞が癌化するのかを調べる過程で以下の知見を得た。 1.Hisタグを付加させた野生型MEKをコードするmRNAを作成し、無細胞蛋白質生合成系内に混合して野生型MEKを発現させた。発現させた野生型MEKの位置特異的なリン酸化を、酵素的にRaf蛋白質を用いて行った。このようにしてリン酸化させた野生型MEKは、下流のERKにシグナルを伝達する本来の活性があることも確認している。 2.野生型MEKをコードするmRNAの特定のチロシンの3塩基コドンを、4塩基コドンに置換した変異mRNA(9種類)の作成を行った。更に、対応する4塩基アンチコドンを持つtRNAを作成し、RNA触媒法(フレキシザイム法)を用いて、これに3-ニトロチロシンを結合させてアミノアシルtRNAとした。各々の変異mRNAとアミノアシルtRNAとを大腸菌抽出物内で混合することにより、3-ニトロチロシンが位置特異的に導入された9種類の変異MEKの生合成を行った。現在、変異MEKの自己リン酸化活性確認を1と同様の手法で行っている。 3.3-ニトロチロシンを細胞内で位置特異的に導入するために、生細胞中で4塩基コドン・アンチコドンの読み出しができるか実験を行った。幾つかの4塩基コドン・アンチコドンの組み合わせにおいて効率的な読み出しが可能であり、論文発表を行った(Takiら、ChemBioChem,425(2006))。
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Research Products
(1 results)