2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しいセンシングメカニズムに基づいたリン酸化タンパク質のレシオ型蛍光検出
Project/Area Number |
17750163
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
王子田 彰夫 京都大学, 工学研究科, 助手 (10343328)
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Keywords | 蛍光センサー / レシオ検出 / 分子認識 / リン酸化 / たんぱく質 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
当該年度では、リン酸化タンパク質をはじめとする生体内リン酸種に対して、レシオ型の蛍光変化によりセンシング可能な亜鉛錯体型人工低分子センサーの開発を目指して、1)アクリジンを蛍光団として有するセンサー分子の機能評価と酵素反応解析への応用、2)新しいタイプのレシオ変化型センサー分子のデザインと合成、および機能評価を行った。1)については、アクリジン型センサーのリン酸種との相互作用に伴う蛍光波長変化がアクリジン窒素-亜鉛イオン間の配位結合の解消であることを蛍光測定、吸収測定、X線結晶解析などによりさらに詳細な検証を行った。また、アクリジン型センサーの応用例として、糖転移酵素反応のリアルタイム解析について検討を開始し、良好な結果を得つつある。2)については「リン酸種との相互作用によって誘起される蛍光団カルボニル基と亜鉛イオンとの配位状態変化による蛍光波長変化」に焦点を絞り、このメカニズムの有効性を実証する研究を展開した。その結果、キサントンを蛍光団として有する二核亜鉛錯体型のセンサー分子が、水中においてリン酸化ペプチドやATPなどの生体リン酸種と相互作用すると蛍光励起波長がレシオ型で変化することが明らかとなった。蛍光測定、吸収測定、X線結晶解析、およびITC(等温滴定熱量測定)などを用いた様々な解析の結果、キサントン型センサーは当初のデザインどおりにリン酸種との相互作用によりカルボニル基-亜鉛イオン間の配位が解消されるメカニズムで蛍光波長変化が誘起されていることが明らかとなった。この結果については現在、学術誌への投稿を準備中である。
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