2006 Fiscal Year Annual Research Report
糖鎖結合ペプチドによる糖脂質の集合/分散状態の識別手法の開発
Project/Area Number |
17750166
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
松原 輝彦 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (10325251)
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Keywords | スフィンゴ糖脂質 / レクチン / マイクロドメイン / 原子間力顕微鏡 / 糖鎖クラスター / ラフト / ファージ提示法 / ペプチドライブラリー |
Research Abstract |
動物細胞形質膜における、複合糖質を含むドメインのナノスケールでの挙動を解析した。 マイクロドメインへの原子間力顕微鏡(AFM)による直接観察:Hl7年度に確立した手法をもとに、脂質組成とドメイン形成の相関について検討した。脂質としてはスフィンゴミエリンとコレステロールがラフトの最小構成成分であることが既に知られているため、この検証を行った。この他にマトリックス成分として、不飽和リン脂質を混合した脂質膜を作成し、二分子膜でのAFM観察を行った。膜の面積比と混合比率の割合から、スフィンゴミエリンとコレステロールが豊富なラフト様ドメインが形成された。このドメインは不飽和リン脂質よりも高い膜を形成し、より「固い」膜であり、これまでの知見を支持する結果となった。次にスフィンゴ糖脂質を混合すると、このスフィンゴミエリン/コレステロール膜内でより高いドメインとして自己集合することがわかった。このドメインは65nm平均の直径であり、その濃度に依存せず、一定の大きさのドメインを形成した。この結果は新しい知見であり、新しい膜ドメインモデルとして提唱できることが明らかとなった。 糖鎖認識ペプチドの分子進化:昨年作製したファージ変異ライブラリーを用い、脂質膜面における糖鎖クラスター(集合体)を認識するペプチドを分子進化させる実験を行った。ガングリオシドGM3単分子膜をLangmuirトラフで調製し、ファージライブラリーと相互作用させた。溶出条件を検討し、数回の親和性選択操作を行った。新たに同定された数種類のペプチド配列を得ることができたが、結合活性そのものは向上せず、その活性自体はこの長さのペプチドでは限界である可能性が示唆された。しかし他の糖鎖への結合性を評価したところ、GM3糖鎖への結合選択性があることが明らかになった。変異および選択操作によって。結合選択性における分子進化に成功した。
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